「ビスポーク」という愛の形

この時代において、手間も時間もかかる「ビスポーク」は、随分時代錯誤な印象があるかもしれません。

けれど、私にとって「ビスポーク」とはお客様の魂に触れるための方法。画一的な生産方法では決してできない、深いコミュニケーションがそこにはあるのです。

ビスポーク。それはおひとりおひとりに合わせてパターンを起こし、生地はもちろんのこと、細かいディテールもふくめ、すべてその方のために創り上げる方式です。デザイン創作のインスピレーションも、お客様との会話ややり取りの中から生まれていきます。

さそり座生まれだからでしょうか、恋をするとかなり一途なタイプの私ですが、ビスポークという方式もまた、一途な愛に似ているなと思うこともあります。お相手のことをよく知り、魂の交流を深めていくほどに、ドラマティックなデザインが浮かんでくるのです。

あるいはビスポークとは、十人十色の魂を表現するための方式とも言っていい。誰と同じでもない美しさ、生き方、魂 。その人の中に隠された本質が、ひと針ひと…針縫うごとに掘り出されていく様は、身にまとう方にとっても作る側にとっても、魔法のような体験です。

一つとして同じ恋がないように、たった一人のためにあつらえられた世界は、この世に類のないたった一つの作品。細かい部分にまで気を配った高い職人技術、そして生地もディテールも丁寧に扱われながら作られる過程を通して、服そのものの波動も既製品とは比べ物にならないほど高くなります。

このように魂が込められた作品を、身に着けるのは特別な感覚がしませんか? そして何よりも、自分自身が大切にされているという感覚を感じることができるのではないでしょうか。

あなたがあなたらしいと心底感じられる装いを、日々身につける。それだけで、世界はとても特別なものになります。自分の魅力が花開き、自分のことが好きになり、尊いあなたの価値を信じられるようになります。

ですから私は、時代や流行に関わらず、ビスポークで作品をご提供したいのです。
あなたがあなたを愛しているという証のために。